ESU International Public Competition 2013

2013年5月に、英国ESUにて開催されたInternational Public Speaking Competition 2013
参加した上智大学3年 古仲蘭さんから参加報告をいただきました。

この大会は16歳~20歳を対象にしたスピーチの世界大会で、英国のESUが毎年開催しています。日本でよくある英語のスピーチ大会とは異なり、用意した原稿を読みながら(または暗記して)発表するのではなく、いかに自分の言葉で聴衆をひきつけるかが見所で、質疑応答も活発に行われます。計5日間のプログラム期間中にはスピーチ大会(予選・本選)以外にも数々のワークショップや演劇鑑賞などのソーシャルアクティビティも含まれ、世界各国から集まる同世代の人たちとさまざまな経験を通じて交友を深めることを目的とした総合的なプログラムです。参加者は各国内のスピーチ大会等で優秀な実績があり、こうした一連の行事に積極的に参加することが期待されます。

古仲蘭さんからの写真と報告をご覧ください。


古仲蘭 上智大学外国語学部英語学科3年

私は日本英語交流連盟のお力添えの元、2013年5月10日から14日にかけての5日間、イギリスはロンドンで行われたInternational Public Speaking Competition(以後IPSC)に参加させていただきました。2日間にわたって開催された大会、ワークショップやロンドン観光、各国からの代表者たちと過ごす時間、全てが今でも私の脳裏に鮮明によみがえってきます。様々な人と出会い、刺激を受け、打ちのめされ、そして考えさせられた、とても濃厚な5日間でした。

5日間のプログラムを終えて一番印象に残っていることはpublic speakingにおける、各国代表者たちのレベルの高さです。この大会には参加者に「20歳以下」という年齢制限があるため、参加していた代表者の殆どが17歳、18歳の高校生でした。その上、彼らの大部分が英語を母語としない国からの参加者でした。しかし、そんなことは彼らにとって取るに足らないことのようでした。いかに、ある物事を効果的に、相手の印象に残るように言うか、そのテクニックが実に見事でした。彼らが英語ネイティブ・スピーカーたちよりも英語を有効に使えているような気さえしました。

特に心に残っているのが、2日目のワークショップでの出来事です。3つのグループに分けられた私達はまず、ペアになり、2分間で自己紹介をします。その後、一人ずつ、2分間と言う制限時間内で自分のパートナーを皆の前で紹介する、というアクティビティでした。「彼女の名前はエリー、20歳のイタリア代表で、大学での専攻は…」このような答えを求められていると、誰もが思うでしょう。しかし、このようなスピーチは現地ではむしろ邪道であるような気さえしました。「さぁ会場の皆さん、ここに立つ美しい女性をご覧ください!この美しさを例えるなら『イタリアから来た宝石』でしょう!この麗しい女性、エリーは…」後者の方が確実に記憶に残るでしょう。限られた時間のなかで、2分間しか会話をしていない人のことを紹介するという「やりづらい」お題にもかかわらず、参加者たちは流れるような英語、溢れるパワー、聴衆を巻き込むボディーランゲージ等、持てるもの全てを活用し、まるで商品を売りこむプロのセールスマンのようにその人の魅力を聴衆の記憶に焼き付けたのです。たった数分の準備時間でそれを可能にした参加者たちのスキルに、素直に驚かされました。材料がどんなに少なくても、それを一流品に料理する「腕」を彼らは持っているのです。このアクティビティだけではなく、連日のワークショップでは他の参加者のpublic speakingのレベルの高さを実感させられました。打ちのめされ、落ち込んだ時もありましたが、それ以上に「私もうかうかしていられない」と、自分を奮い立たせる良い機会になりました。

また、参加者との交流も心に残っていることの一つです。どんなにpublic speakingのプロだといってもやはり皆まだ20歳以下の若者、一度集まれば、以前から知っていた友達のようにすぐに打ち解けました。お互いの国のことだけではなく、学校のこと、家族のこと、友達のこと、将来の夢のこと、夜遅くまで語り合った日々は今でも忘れられません。今でも友達とはメールなどで繋がっています。IPSCが終わった後、日々世界中で起きている事件やイベント等、今まで興味を持たなければとりわけ気にも留めなかったことが、今では国名を聞くとまずそこに住む友達の顔が浮かび、それが人ごとではないような気がしてきます。例えば、トルコで大規模なデモが起きたとき、私を含め皆がトルコ代表の友達に連絡をしました。彼女はメディアが伝えないような、現地の生生しい様子を伝えた後、「デモに参加する」と言い張ります。それに対して一晩中、友達全員で彼女を止めようと説得したことがありました。悪化したシリア情勢に関して、マレーシア代表の友達が何かできないか、と参加者全員に呼びかけ、Facebook上で大規模なディスカッションが繰り広げられたこともあります。時に緊張感が走ることもありますが、世界中に住む友達の意見を聞くのは素直に興味深い経験です。すべてIPSCがなければ、得られなかった出会いです。この出会いに心から感謝し、またいつかの再会を心から期待しています。

ロンドンでの5日間は確実に私の人生を変えるきっかけとなりました。大会では、全力をつくしたものの、予選を突破できず、恥ずかしい結果となってしまいましたが、「アイディアとは私達の最強の武器である」というテーマにそって、東日本大震災の絶望と悲しみを乗り越え、希望に向かって歩き出そうとしている日本の若者の存在を世界各国から集まった友達に伝えることができたことだけでも、私は嬉しく思っています。また、他の参加者のスピーチは、お国柄が出ていてとても興味深かったですし、Q and Aに答えるテクニックも学ぶものが沢山ありました。今回の経験と出会いを糧に、これからも日々精進してまいりたいと思います。

最後に、この貴重な機会を与えて下さり、お忙しい中、親身になってスピーチのご指導までしてくださった日本英語交流連盟にこの場をお借りしてお礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

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